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九六フィートの高さから

つれづれなるままに

通学と空白

回想 つれづれ 大学

昨年僕は大学生になった。

ここしかないかな、と思った第一志望の大学に入ることが出来、初めての大学生活というものを送っている。

 

受験生のときは、楽しかった。

高校は楽しかったけど、高校生としての生活はなんだか窮屈な感じがして、早く自由を手に入れたいと思っていた。

そして大学生になること、あの大学に行くこと、それがその道に違いないと思っていた。

受験勉強はゲームのようで、やればやるだけ出来ることも増えたし、周りには同じ方向を見ているように思える同級生がいたから、しんどくても、つらくはなかった。

 

そうして大学生になった僕は、すぐによくわからなくなる。

 

 

僕が通っている大学は、自宅から片道二時間かかる。

だけど下宿は二回生からと言われていたし、最初は通おうと自分でも思っていた。

つまり毎日往復四時間を移動に使うことになる。

 

期待して入った大学だったが、入ってみると、その実周りは同じような表情をした若者が集まっているだけで、その遊びたい盛りのエネルギーに満ちた空気に馴染むことはできないと思ったし、言い換えると、馴染んでやるものかという反発もあった。

大して面白くもないノリで笑い、授業をサボることこそ大学生の真髄だと言わんばかりの大声で充満している食堂。

そしてその矢は自分に返ってきて、ああ、俺もその中の一人なわけか、と落ち込む。

 

僕が選んだ学部は、自由が売りのうちの大学の中でも一番自由、何をやってもいいしなんでもできる、逆を言えば何もしない何もできない学生を量産し、就職もできない学部である。

でも僕はその自由さを選んだし、その中で何かをやってやろう、何かできるだろうという自信はあった。

授業の選択も語学以外はそれぞれの好みで組めるし、卒業までの単位の指定もゆるい。

僕は興味のある授業、興味を持てるかもしれない授業を選んで履修した。

けれど、実際のところはもちろん面白い授業ばかりではない。

ただただ一時間半座っているだけの修行のようにしか思えない授業も一つや二つではなかった。

授業が終わると、まっすぐに駅へ向かう。

疲れていて早く帰りたかったし、実際、二時間かかるわけで、語源を受けてまっすぐ帰っても、家に着くのは8時を過ぎる。

次の日もあるし、僕は睡眠時間を削るのは苦手というか、苦痛なタイプだから、そうするしかないのである。

 

電車通学は、悪くないけど、やはりしんどい。

一限のある日は通学通勤ラッシュのタイミングだから座れないけれど、一限は週に1日しかないようにしたし、それ以外の日は座れるから、本を読むなり、勉強するなり、音楽を聞くなりして、それほど無為な時間になるわけではない。

だけどやっぱり公共の場所には変わりなくて、ただ乗っているだけでも少しずつ何かを消耗してゆく。

かつ、そうして行った先につまらない授業が待っているのことが多い。

 

朝早く起きて、電車乗って、二時間後に大学に着いて、つまらない授業を受け、薄暗い場所で薄暗い気持ちで昼飯を食べ、また授業を受け、一目散に帰って、寝る。

その繰り返しで2016年前期は過ぎて行った。

 

そんなとき、「俺は何をしているんだろう」とどうしようもなく思ってしまう。

ピークは6月ぐらいに来た。

何をやってもつまらないし、何かをしているとは全く思えなかったし、なのに毎日ヘトヘトで、残るものなんてほとんどなかった。

ただ一度しかない時間をずるずると消耗していっている意識だけが頭から離れない。

 

大学生になったら、ずっとやりたかったバンドでオリジナル曲を作るのをやろう!ほぼできないまま

友達といっぱい遊んだりすんのかな平日は普通に家帰るし、休日に遠出するほどのエネルギーもない。

彼女いない。というか恋がわからない。

 

できない、やってないばかりが増えていく感覚に苛まれる。

苛まれていることに疲れ、疲れていることに疲れる。

 

 

 

本当にそんなに何もない生活を送っていたのかというと、実際は大学生になって増えたこともあった。

 

まずは映画をよく見るようになった。有り体に言えば映画にハマった。

きっかけは受験終了後の3月に見た『リップヴァンウィンクルの花嫁』だった。

初めて映画を見ることを”体験”だと感じた。

ストーリーが面白いとか、画面が綺麗とか、そういう一個一個の要素を超えた根深い何かが胸に直接ぶち込まれたような。

これが映画を観るということかと思った。

 

それからはよく映画を観るようになったし、いろんな映画に興味を持つようになったし、見た映画について人と話をするようになった。

人と話して、他人がどう感じるのか知ることは面白い。

自分が一人で見た以上の体験に押し上げてくれる。

また、僕は感情が遅いたちで、あまり号泣したりすることはないのだけど、だからこそ、人がどういうところで泣くのか、よく考えるし、人と話をして、それを知る作業はとても興味深いものだと思う。

このあたりの話題に関してはまたいつか書きたいと思っている。

 

あとは、夏休みに高校の同級生と先輩と三人で、徳島県に免許合宿に行ったことは、僕の人生においてもとても大きな出来事だったと思う。

自分は行動力が乏しいところがあるから、自分の手では見られない景色を二人が見せてくれたし、こんなカッコつけた言葉で語るのがおかしいくらいバカらしくて、とんでもなく楽しかった。

 

 

 

こんな2016年前半を送っていた僕が後半に入ってバイトを始めます。

初めてのバイトから得たもの、考えたことについて次は書こうかな。