呪いの看板のおもひで 〔新潟〕
この看板を見て欲しい。
犬や猫とは思えない、全てを悟ったかのような光を宿した目と、なんとも言えない口もと。角度。3色の配色と「ほんとにこのお店いまもやってる?」と思わせる色褪せ方。字体。
母の地元である新潟県のある地域でよく見かける看板なのだが、小さい頃から帰省のたびに何気なく目にしていて、なぜかよく覚えていて、なんとなく好きだった。
それを今回の帰省中、ドライブしているときにぼんやりと呟くと、母から思わぬ賛同を得て驚いた。
でも、たぶんこれ、わかる人はけっこういるんじゃないだろうか。こういう、もうなんとも言いようのない空気を纏ってしまっている変なものってすごく目を惹くし、そういうのが好きな人は多いはず。
それで、もうこの際見つけるたびに写真を撮ってしまおうということになった。
いざそうなると、思っていたより沢山ある!そして一枚一枚少しずつ顔が違う!!
そんなの興奮しちゃうじゃないか。
最初呆れ気味だった祖母もだんだんこっちの妙なテンションに飲まれてきて、「あの建物のあっち側にあるんじゃない??」なんて予想しながらの奇妙で楽しいドライブになった。
未だ見ぬ実店舗(あるのか?)に思いを馳せながら、次々に写真に収めていった。
出るわ出るわでもう大興奮だった。
写真を見ていただいたらわかるように、一ヶ所に何枚もあったり、横だけじゃなく縦バージョンもあったり、ちょっと新しいのもある。
では、代表的なものをアップでご覧いただこう。
はい。あなたもだんだんハマってきたであろう。
上のは僕の中で「ザ・松田ペット」のやつ。割とかわいらしい。相変わらずみんな目が据わってる。色もよし。
2枚目はちょっと新しくて色が濃い。実は上と下で絵が違う。そして決定的にかわいくない。なんかイヤ。なんか怖い。たぶん彼らはもともと人間で、なにかの罰で犬にされたクチだと思う。呪いでないとあのザワザワ感は出ないであろう。
さあ、では我が家でも話題騒然となった問題作をご覧いただきたい。
もうセオリーをとことん外してきている。どこに行ったんださっきまでのこだわりは。そしてダントツで顔が怖い。ほんとは犬でも猫でもないに違いない。左の犬は絶対に信頼してはいけない顔をしているし、右の猫なんて途中で描くのやめたでしょ。ずば抜けて妙ちきりんな一枚。十数枚ほど松田ペットの看板を見つけてきた松田ペット・ハンターのわたくしですが、緑・赤・青の3色を守っていない横型はこれだけだった。
なんて言いながらドライブを続けていると、縦型が現れた!と思ったら!
実店舗キタ!!
あまりの突然さに目を白黒させつつもきちんと左折し車を停める母。すると駐車場も!
!!!!
あの動物たちがこんなにも!!
助手席から数々の松田ペット看板を見てきた僕はもうすでに彼らと写真を撮りたいと願っていた。だから…
そりゃまあこうなる。
かわいい顔しているかに見えて絶対とって食われる。妙な緊張感がある。
でも嬉しかった。
こんなのもある。
いやあたまらんなあ。
昔からの思いが完全に満たされた。実店舗にもお邪魔したが、そりゃもう普通のちゃんとしたペットショップだった。(あるのか?)なんて思っていてごめんなさい。
僕と新潟と松田ペット〜夏のおもひで〜 〈完〉
おまけ
最高なボーイの最高なポーズ。今すぐこうなりたい。
本当は世界一の花火大会である長岡大花火について書くべきだが、そちらは動画とともにインスタグラムをご覧いただきたい。松田ペットよりよっぽどすごいものをお見せできるのでぜひ。
https://instagram.com/p/BXVcMX3B9l3/