九六フィートの高さから

それとなく落下 相対速度は限りなくゼロ

バースデイ

おとといは誕生日だった。

前回の投稿で書いたように、今年の誕生日は映画館で、『イット・フォローズ』というホラー映画を見ながら迎えた。

『イット・フォローズ』、めちゃくちゃ怖くて、誕生日だというのに寿命が8年縮んだような気持ちになった。もう音とかすごくてやめてくれと思った。

あまりにも救いようのない設定でなかなか辛かったな…

そのあとは、グザヴィエ・ドランの『わたしはロランス』と、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』という作品を見た(ちょいちょい結構寝た)。

オールナイトで映画を見たのは初めてだったけれど、ちょっとぼーっとしてる頭と、ふかふかの席と、見えるのはスクリーンだけ、みたいな空間で、自分がどこにいるのかわからなくなるような没入感を感じることができて、なかなかいい体験だった。

 

そんなこんなでそのオールナイトイベントが終わり、外に出ると、完ペキな朝で、見るからに澄み切った空気、澄み切った朝日、めちゃくちゃ朝、みたいな、思わず深呼吸してしまうような気持ちのいい朝だった。

バスに乗って街へ行って、友人に朝ごはんをごちそうしてもらい、またバスに乗って部屋へ帰った。

将来のこととか、高校時代のこととか、たくさん話した。

その友人とは、高校時代に軽音楽部でバンドを組んでいて、その当時の録音を聴きながら、「かなりいいな〜〜」とか自画自賛を繰り返し、笑った。

すると突然玄関のベルが鳴り、ドアを開けると、大きな箱を持った配達の人が立っていて、見ると、その友人を含め、高校時代のバンドのメンバーからの贈りものだった。

聞くと、それを受け取るところを見届けるためにうちにまで来たのだとか。

笑ったし、嬉しかった。

贈りものは、きれいな器とコップのセットだった。

白やグレーや緑や黄色やネイビーの、しっとりとしていて、あたたかさを感じる陶器の質感がすばらしくすばらしい、それでいて生活に寄り添っているような、もうとんでもなくかわいい食器たちだった。

思わずそれら専用の棚をこさえるために棚の整理をした。

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うつくしいでしょ。

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今日の朝ごはん。たまらんね。

 

そのあと、その友人とは別れ、しばし仮眠をとり、夜は別の友人たちとクソゲーに興じ、ご飯に行って、バーに行って合法飲酒をして、鴨川で歌ったり黒ミサをしたりすね毛を燃やしたり(くさい)した。

なんとなくおまわりさんを避けるように友人の部屋に戻り、ケーキをごちそうになった。フチに山椒みたいなツブツブが乗っているかわいいチーズタルトで、すごく美味しかった。

スーパーにクレイジーアンドナイスな強烈な夜になった。楽しかった。うれしかった。

そのあとはすぐに寝てしまった。

朝起きて、その部屋の友人に置き手紙を残して、自分の部屋に戻り、身支度をして、大学へ行った。

 

昨晩は高校、大学とずっと先輩である先輩(仲良し)に近所の定食屋でご飯をごちそうしてもらった。近所だけど行くのは初めてだった。

これまでのそんなに長くはない人生で、あんなに大きなハンバーグを食べたのは初めてだった!おいしかったけど、お腹いっぱいになりすぎて、部屋に戻ってからもずっと、お腹いっぱいや、苦しい、って二人して言い続けていた。

サシであんなに話し込んだのは初めてだった。いい夜だった。

 

家族と過ごさない誕生日は初めてだったかもしれない。

人にお祝いしてもらうのはとってもうれしいけれど、実は同じくらい、もしかしたらそれ以上に、人をお祝いすることもとってもうれしい。

僕をお祝いしてくれた人たちも、僕と同じくらい、それ以上にそういう気持ちになってくれていたらいいな、と強く思う。

そう思ってもらえるような人になれたらいいな、と強く願う。

 

最後に、一曲、大好きなバンドの、僕が一番好きな曲を紹介します。

Galileo Galileiというバンドの、その名も『Birthday』という曲です。


Galileo Galilei『Birthday Studio LIVE』

ガリレオは本当に大好きなバンドで、高校時代にもコピーを何曲もした。

昨年、彼らはGalileo Galileiとしての活動を終了してしまった。

そのラストライブ、武道館公演に行ったのだけど、その公演でもこの曲を演奏してくれた。

恥ずかしいほど泣いてしまった。

ライブを見ていて、泣きそうになったり、目が潤むことはけっこうあるのだけど、この時はなんだたもう、いろんな感情が込み上げて、ウェンウェン泣いてしまって、人に顔を見られないようにしていた。

いい曲なんです。すべてが完ペキ。

もはや宗教的なまでの美しさというか。詞もそんな感じがするし。

ライブでは、最後の「いったい僕は何になるんだろう?」というフレーズを、1オクターブ上げて張り上げて歌うんだけど、それがほんとうに胸に刺さる。

ぎゅーーーってなっちゃって、つらい。

ほんとうにうつくしい曲なので、ぜひ聴いてみてください。

 

いったい僕は何になるんだろう?

 

10代に振り返って手を振る

日付が変わって本日は5月27日。

もうどうやら2017年らしい。

2016年に比べて2017年って未来感が強い字面をしているな。

17が放つ素数感(実際2017は素数らしい)がファクターなのかしら。

奇数の持つ冷たく金属っぽい匂いかもしれない。私だけでしょうか。

普段は全く忘れているけれど、私たちは21世紀に生きるニンゲンなんだなーって。

21世紀という言葉はわりとSF感あるよね。

一応ギリギリ20世紀生まれなの、なんか嬉しい。私だけでしょうか。

 

SFの話をすると、昨日の夜、『メッセージ』というSF映画を見た。

めちゃくちゃおもしろいので見てください。

SFだからモチーフがぶっ飛んでたり、ビジュアルがぶっ飛んでたりはあるけれど、本当に描いているのは人間の心、みたいなSF映画が大好き。

インターステラー』とかね。

SFこそ実は情緒がすごいとは友人の言。これはほんとにこう。

 

 

いよいよもう一つ寝るとお正月になってしまった。

20歳になります。

実感が全くない。だって別にひとつ歳をとるだけだし。

17歳になった時は、自分が17歳になるなんて思ってなかった、と思ったけれど、20歳には、まあなるわな、まだなってなかったんかい、という感じ。ドライ。

 

みんなが20歳までにしなきゃいけないことのチェックリストなんてものがもしあったとしたら、自分はたぶん、半分くらいしかチェックを入れられないんじゃないか、と漠然と思う。具体的に何かが浮かぶわけではないけれど、なんかそう思っちゃう。

でもたぶんけっこう多くの人がそう思うんだろうな。

後悔しないように生きろ、みたいな言説があるけど、それは無理〜〜、絶対無理〜〜、無理だし別に望んでない〜〜、と思う。

おれはちゃんと後悔していきたい!

だって後悔しない人生なんて味気ないと思うし、後悔が全くないなんて心理はあんまり信用できないな。

死ぬ時は、めちゃくちゃ後悔しながら、そのできなかったことへの思いも含めて、ぜんぶ愛して死にたい。全部を愛して死にたい。

 

10代を振り返って、後悔ばっかりです。

10代の初め、小学校高学年から始まるけど、あのころはちゃんと好きな人がいたなあ。

たぶん向こうも自分のこと好きなんじゃないか?とかありがちな過剰めの自意識を持ちながら、告白したりしないまま終わったけど、いま思うと、あのときこそ「告白をする」チャンスだったな、と。

いままでいわゆる告白をしたことがない。実はけっこうかっこわるいと思ってる!くそう!

 

中学の間は、ダルダルな弱小卓球部で、ズルズルな活動をしたりサボったりしてた。

すごくたくさんの時間を持て余していたと思う。

もっとあのときに本を読んでいれば!と思う。

世の中にはもはや絶望的なほどの数の素晴らしい本があって、死ぬまでに読みきれないことは人類の古からの悩みだと思うけど、ほんと、あのときからもっと本を読んでいればな〜。

でもどう考えても中学の頃のおれはバカだったし、読んでいたとしても、ただ読んでいただけになってしまっていたかもしれないことを思うと、まあ、仕方ないか。

今からがんばります!

こころ、も、人間失格、も、潮騒、も、星の王子さま、も読んでるからまだなんとかなってるかな。

でもまだまだ読めてないいわゆる名作はいっぱいあって無駄に恥ずかしさを感じる!くそう!

 

高校時代のことはまだ近すぎて振り返って開陳するのは恥ずかしい。そこまで距離を取れていないと言うか、気持ちがまだあの頃に頼っているところがあるんだろうな。

 

20歳の自分に期待していることは、あらゆることに対して、自分のスタンスを定めていくこと。インプットをたくさんして、自分にとって最高なアウトプット方法を見つけていくこと。人と出会ったり関わったりすることに積極的になること。かな。

 

20代に向かう夜を、ぼくは映画館で過ごします。

オールナイト上映に参加します!

日付が変わる時にはホラー映画を見ているよ!なんでや!

楽しみです。

 

待ってろよ20代!もう行くぜ10代!元気で!グッド・バイ!

 

小さくて弱い透明な羽虫の夜

最近夜眠れない。そのうえ朝起きるのも苦痛。

どうにかならんもんかと思うけれど、どうにもならないらしい。

電気を消した暗い天井や壁を見たり見なかったりしながら、どうにもならないことをぐるぐる考えたり考えてるふりをしたりする。

暑いのが悪い。足の裏が火照ってたまらない。

部屋の空気がこもるので、寝るまでの間は窓を開けている。もちろん網戸は閉めてあるのだけれど、それでも法の目をかいくぐって小さな虫たちが侵入してくる。

かなり多い。でも窓を閉める方がきついので、そこは我慢している。

時たま晩御飯に飛び込んできたりするので、優しく殺す。

いくら優しくても殺しているので、ごめんね、と言う。

また殺す。ごめんね、と言う。

そろそろ窓を閉めようかなと思う。

 

枕にいつの間にか涎を垂らしながら考えるのは、いまのことと、将来のこと。

なんだかとても寂しくなってしまういまのこと。世の人たちはどうやって一人じゃなくなっているのか、わからない。なんて言いながら自分が動くことを放棄してることもわかってて、かっこわりーな、と思う。そりゃ眠れないわけだ。

将来のことはずっとずっと頭の割と目立つところに居座り続けているし、ちょっとずつ見えてきたり、やっぱりそうでもなかったりするけれど、なかなか決着はつかない。まだつけたくない、つけるのが怖い、というところもある。選択するのは怖い。だって選択したらもう一方は捨てないといけない。捨てるのは怖い。選ぶのは怖い。いまもまだ保留にし続けている。かっこわりーな、と思う。

 

自分のことはそんなんだけど、人の話を聞くのは好きだ。

誰かが考えていること、将来やりたいことの話を聞くのが好きで、よく尋ねてしまう。

彼はエネルギー問題解決に向けて研究者になろうと考えているし、彼女は大きなお家を建てるために1000万円プレイヤーになるべく親に借金してWスクールを始めたし、彼女はジャーナリストになろうと就活したけれどダメで彼女いわく「学歴ロンダリング」して院に進んだらしい。

みんなすごいなと思う。

僕はどうも薄情なせいか、気持ちを強いまま保つことができない。恋もできない。

 

かっこわりーな、と思う。

僕はもうすぐ二十歳になる。